「音を聴いて学ぶ教育プログラム」研究会プログラム

2011年1月 音響教育研究会

委員長  荒井 隆行 
副委員長 佐藤 史明
幹 事  西村 明,横山 栄

日時 2011年1月6日(木) 10:00〜17:00
会場 東京芸術大学 千住キャンパス スタジオA
      東京都足立区千住1-25-1
交通アクセス: 北千住駅(JR常磐線,地下鉄千代田線,日比谷線,半蔵門線,
つくばエキスプレス)下車,上野方向へ徒歩5-7分千住警察西約50m.
詳細は大学のHP(http://www.geidai.ac.jp/access/senju.html)を参照ください 

議題 ―― 音を聴いて学ぶ教育プログラム ――

[招待講演] 10:00 〜 11:00
1. 聴能形成 −音に関わるプロフェッショナルのための「音の感性」養成カリキュラム−
   岩宮眞一郎	(九州大学)
   概要: 音響設計技術者,サウンド・デザイナーといった音に関わるプロフェッ
   ショナルに必要とされる「音に対する感性」を養成する教育プログラムとし
   て,九州大学(九州芸術工科大学)芸術工学部音響設計学科で実施されてい
   る「聴能形成」のコンセプトと実際を紹介する。

[一般講演] 11:00 〜 12:00
2. 東京藝術大学音楽環境創造科における聴能形成について
   丸井淳史、亀川徹	(東京藝術大学音楽環境創造科)
   概要: 東京藝術大学音楽環境創造科では、1年次〜3年次の学生を対象とした
   「プロジェクト」という講義の一部に聴能形成を取り入れている。九州大学
   芸術工学部で行われているイヤートレーニング方法を参考にしたもので、週
   一度一時間程度のグループ演習となっている。録音技師や音響研究者を志す
   学生が聴能形成によって、どのように能力が向上したのか、また、音の聞き
   方に対する意識がどのように変化したのかを報告する。

3. 文科系学生に対する聴能形成の意義と成果
   西村明	(東京情報大学)
   概要: 東京情報大学情報文化学科では,2008年度より文科系学生を主な対象
   とした講義において、Web聴覚訓練システムを用いて、100名前後の学生に対
   して同時に聴能形成を実施している。聴能形成の主な目的は、音を注意して
   聴く経験をつけさせるためである。また、サンプリング周波数,高調波歪,
   知覚符号化などと,それらに伴う音質劣化について、学習と識別訓練を併用
   することにより、理解度の向上を目指している。

[昼休み] 12:00 〜 13:10

[一般講演] 13:10 〜 14:40
4. 聴能形成のカリキュラムや運用について
   河原一彦	(九州大学)
   概要: 聴能形成などの聴感訓練は、教育機関や企業等の組織において導入さ
   れている。報告では、教育機関と企業における訓練カリキュラムの考え方に
   ついて著者の考えを述べる。また、導入時に、計画すべき運用のチェックポ
   イントについても言及する予定である。

5. 聴能形成導入の事例紹介およびトレーニング効果の持続性について
   森尾謙一、倉光拓馬(日東紡音響エンジニアリング)
   概要: 企業における聴能形成導入の事例紹介を行い,うまく導入ができた例,
   困難であった例を挙げ,導入時の課題や知見をまとめて報告する。また,こ
   れまで検証がなされていなかった聴能形成の訓練効果の持続性についても併
   せて報告を行う。

6. ヤマハにおける聴能形成の社内展開
    伊藤寿浩(ヤマハ株式会社研究開発センター),小林哲(ヤマハビジネスサポート)
   概要: ヤマハ社内に聴能形成を導入してから、3年ほど経過しますが、その過
   程で得られた効果的な教育方法と、社内への教育展開のためのノウハウにつ
   いて紹介します。

[休憩] 14:40 〜 15:00

[一般講演] 15:00 〜 17:00
7. 音を聴いて学ぶ音響音声学
   荒井隆行	(上智大学理工学部情報理工学科)
   概要: 音響音声学では、知識だけではなく音を聴いて音の違いを感覚として
   身につける必要がある。そのような音を聴いて学ぶ音響教育の一例として、
   著者らが進めている音響音声学デモンストレーションを紹介する。

8. 箏における調絃教習の可能性について
   安藤珠希	(東京藝術大学音響研究室)
   概要: 箏は演奏前に13本の糸を調絃(チューニング)しなければならない。
   しかし、その方法・手順は教習されているが、どのように音を判断すればい
   いのかは、具体的に教えられていない。調絃は「慣れ」の問題として片付け
   られ、調絃ができない人は教授側も学習側も諦めてしまっているが、そのよ
   うなグループに対し、「音の印象」を用いた教習の可能性について提案した
   い。

9. 生物多様性の保全に着目した環境音の教育
   柴山秀雄(文教大学・情報学部) 柴山南子(無所属)
   概要: 四季により,温度や湿度が変化し,それに伴い植物や生息する動物も
   変わる.特に,初秋の夜の環境音は昆虫のコーラスが主役である.しかし,
   地球環境の変化と伴に,従来から,地域で聞こえていた虫の音が将来にわたっ
   て聞く事が出来る保証もない.本報告では,初秋の虫の音に着目し,周囲の
   環境音の時系列変化から,環境音を創生する虫の音から生物多様性を評価を
   する音響教育学習プログラムを述べる.

10.『いったい何がきこえているんだろう』展
   城一裕	(東京藝術大学芸術情報センター)
   概要: 「いったい何がきこえているんだろう」展は,NTTインターコミュニ
   ケーション・センター キッズ・プログラム2010として開催された,「音楽」
   ではなく「言語」でもない「音」に注目した展覧会である.本展覧会では,
   音と知覚の連動,音と空間や環境の関係性,ききとり方の変化など,各テー
   マに合わせたアート作品やデバイスなどを展示し,遊ぶように音を体験,思
   考しながら,聴覚と知覚に関する新しい発見の扉を開くことを目指した.本
   発表では,展覧会の紹介を通じ,見たり,触れたりするのではなく,聴くこ
   とで気づく世界のあり方について議論したい.

終了後に懇親会を予定しております。